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現在、ADHDの治療薬として処方されることが多いのは

  • ストラテラカプセル・内用液(成分:アトモキセチン)
  • コンサータ錠(成分:メチルフェニデート)

ですが、

近日中にADHDの治療薬としてインチュニブ錠(成分:グアンファシン塩酸塩)が発売されることがわかりました。

ADHD 治療薬

インチュニブ錠はすでにアメリカやヨーロッパなど、世界33ヶ国でADHDの治療薬として使われています。

なのでやっと日本でも使えるようになったと心待ちにしていた方もいらっしゃると思います。


またインチュニブ錠は効果を発揮するための作用機序はストラテラカプセル・内用液やコンサータ錠とは異なります。

そのためインチュニブ錠の発売によって、今までストラテラカプセル・内用液やコンサータ錠で

  • 長期間薬を飲んでも効果が感じられない
  • 副作用が強くて継続して服用できなかった

人にとって新たな選択肢となると期待が高まっています!

そこで今回はこの待望のインチュニブ錠の子供(小学生・中学生・高校生)への効果は、一体どれくらいのものなのかまとめてみました。

インチュニブ錠の子供への効果:海外のエビデンス

最初にお伝えしたようにインチュニブ錠はすでにアメリカやヨーロッパなどの海外で使用されているADHD治療薬です。

なので海外のインチュニブ錠の効果をみる研究は、すでに海外でいくつか行われています。


外国の人と日本人では体格差や人種差があるので全く同じ結果にはならないとは思いますが、インチュニブ錠の効果を示す1つの目安にはなるのでここで研究結果を紹介します。

インチュニブ錠の子供への効果:Biedermanらの研究

Biederman氏らは6~17歳(小学生・中学生・高校生)のADHDの子供345人を以下の4つのグループに分けて、ADHDに対してインチュニブ錠が効果があるのか8週間研究を実施しました。

  • プラセボ(有効成分が入っていないもの)を服用
  • インチュニブ錠2㎎を服用
  • インチュニブ錠3㎎を服用
  • インチュニブ錠4㎎を服用



するとインチュニブ錠を服用した全てのグループがプラセボに比べてADHDの症状が改善したという結果がでました。

【参照:A randomized, double-blind, placebo-controlled study of guanfacine extended release in children and adolescents with attention-deficit/hyperactivity disorder.:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18166547】

インチュニブ錠の子供への効果:Salleeらの研究

Sallee氏らは6~17歳(小学生・中学生・高校生)のADHDの子供を以下の5つのグループに分けて9週間研究を実施しました。

  • プラセボ(有効成分が入っていないもの)を服用
  • インチュニブ錠1㎎を服用
  • インチュニブ錠2㎎を服用
  • インチュニブ錠3㎎を服用
  • インチュニブ錠4㎎を服用



こちらの研究においてもプラセボより、インチュニブ錠を服用したグループのほうがADHDの症状が改善したという結果となりました。

【参照:Guanfacine extended release in children and adolescents with attention-deficit/hyperactivity disorder: a placebo-controlled trial.:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19106767】

インチュニブとストラテラ・コンサータの比較

さて海外の研究結果からインチュニブ錠はADHDの症状改善に効果があることがわかったのですが、すでに日本で発売されているストラテラカプセル・内用液、コンサータ錠と比べて効果はどうなのでしょうか。

薬の効果を比較する方法で一番わかりやすいのは自分で飲み比べてみることですが、これを実行するのはなかなか難しいことです。

そこで全く同じ条件での比較とはいきませんが、すべての薬には臨床試験(薬を発売するために効果や安全性を確かめる試験)のデータが公開されているのでこのデータで比較したいと思います。

ADHDの症状を評価するADHD-RS-IV

インチュニブ錠・ストラテラカプセル・内用液、コンサータ錠の効果の比較データを紹介する前にADHDの症状が改善したかどうかを評価するツール、ADHD-RS-IVについて紹介します。

ADHD-RS-IVは

  • 面と向かって話しかけられているのに、聞いていないようにみえる
  • 気が散りやすい
  • 日々の活動で忘れっぽい

などの18の設問に対して第三者が評価するものです。


各設問に対して

  • ない、もしくはほどんどない=0
  • ときどきある=1
  • しばしばある=2
  • 非常にしばしばある=3

とチェックしていくので、該当する症状が多いと合計の点数が大きくなることになります。

変化量の平均値

次から説明する臨床試験での『変化量の平均値』の項目は、臨床試験の開始時点と終了時点でどのくらいADHD-RS-IVの合計点数に変化があったかをあらわしています。

なので減った数値が大きいほど、ADHDの症状がより改善したこととなります。

標準偏差

ADHD-RS-IVはADHDの症状が点数化されてわかりやすいというメリットがありますが、血圧や血糖値のように機械で測るのではなく、人の判断による数値なのである程度結果にバラツキがでるものとなります。

そこでバラツキについては『標準偏差』の項目であらわしています。

標準偏差を簡単に説明するとばらつきの範囲を「(平均値 – 標準偏差)〜(平均値 + 標準偏差)」で計算した時、データの約7割がこの範囲に含まれていることを示しています。


例えばAとBの臨床試験において変化量の平均値が同じ30であっても、それぞれの標準偏差がA=5B=20であれば

  • Aの臨床試験のバラツキの範囲⇒25~35
  • Bの臨床試験のバラツキの範囲⇒10~50

となります。

なのでAのほうがバラツキの範囲が狭いため、Bに比べ30付近の結果が得られる期待が高いことがわかります。


それでは以上のことを念頭において次から紹介するインチュニブ錠・ストラテラカプセル・内用液、コンサータ錠の臨床試験のデータをみるようにしましょう。

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ストラテラの子供ADHDへの効果

ストラテラの臨床試験では小学生・中学生・高校生の子供(6歳~18歳)を以下の4つのグループに分けて、ADHD-RS-IVの合計スコアがどのように変化するかという内容で行われました。

ADHD-RS-IVで評価した第三者は医師です。

グループ 変化量の平均値 標準偏差
プラセボ
-8.1
7.1
ストラテラ
(0.5mg/kg/日)
-9.6
9.1
ストラテラ
(1.2mg/kg/日)
-10.8
6.8
ストラテラ
(1.8mg/kg/日)
-11.6
8.8



ストラテラの臨床試験では、ストラテラの量を服用することでプラセボ(ストラテラの成分が入っていない)グループよりADHDの症状が改善していることがわかります。

そしてストラテラの投与量を増やすことで、よりADHDの症状を改善する効果を期待できることがわかります。


ただ少し気になるのがどのグループも標準偏差が大きいことです。

ADHD-RS-IVで評価する第三者が医師とはいえ、やはり人が評価するものなのでバラツキがでてしまうのかもしれません。

【参照:ストラテラ添付文書:https://www.lilly.co.jp/_Assets/pdf/lillyanswers/products/tenpu_str.pdf】

コンサータの子供ADHDへの効果

コンサータの臨床試験ではADHDの小学生の子供(6歳~12歳)に対して、コンサータを投与するとADHDの症状の改善にどのような違いがあるかという内容で行われました。

ADHD-RS-IVで評価した第三者は親と教師です。

親による評価

グループ 変化量の平均値 標準偏差
プラセボ
-8.0
9.7
コンサータ投与
-15.6
10.8

教師による評価

グループ 変化量の平均値 標準偏差
プラセボ
-3.6
9.3
コンサータ投与
-12.6
10.5



コンサータの臨床試験では、コンサータを投与することでプラセボ(コンサータの成分が入っていない)グループよりADHDの症状を改善していることがわかります。


ただストラテラと同様に標準偏差が大きいことが気になりますね。

ADHD-RS-IVで評価する第三者が親や教師なので、ある程度のバラツキはしかたがないかもしれません。

また対象の子供が小学生(6歳~12歳)だけなので、厳密には他の臨床試験とは対象者が異なることは気に留めておく必要があります。

【参照:コンサータ添付文書:https://database.japic.or.jp/pdf/newPINS/00062727.pdf】

インチュニブ錠の子供ADHDへの効果

インチュニブ錠の臨床試験ではADHDの小学生・中学生・高校生の子供(6歳~18歳)を以下の3つのグループに分けて、ADHDの症状がどのように改善したかという内容で行われました。

ADHD-RS-IVで評価した第三者については記載がありませんでした。

グループ 変化量の調整平均値 標準偏差
プラセボ
-6.7
10.1
インチュニブ錠
(0.08mg/kg)
-14.6
10.1
インチュニブ錠
(0.12mg/kg)
-16.9
10.5

※インチュニブ錠の臨床試験では標準誤差の数値しかなかったため、他の臨床試験と比較しやすいように標準偏差に直しました。


インチュニブ錠もストラテラやコンサータと同様にプラセボ(インチュニブの成分が入っていない)グループに比べADHDの症状が改善していることがわかります。

またインチュニブ錠の用量をあげることでよりADHDの症状が改善が期待できそうですが、インチュニブ錠は体重によって最高投与量が決まっているので注意する必要があります。


そしてインチュニブ錠においても、ストラテラやコンサータのように標準偏差が大きくなっています。

インチュニブ錠においては調整平均値(極端な値は除いた結果の平均値)のデータですが、それでも標準偏差が大きくなってしまうのでADHD-RS-IVによるADHDの症状の評価はなかなか難しいことがうかがえます。

【参照:インチュニブ添付文書http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/340018_11790B2G1028_1_02.pdf】

インチュニブ錠の子供(小学生・中学生・高校生)への効果まとめ

今回はインチュニブ錠の子供(小学生・中学生・高校生)への効果についてまとめてみました。

変化量の平均値の結果だけ比べてみると、インチュニブ錠0.12mg/kgの時に-16.9と一番多くADHD-RS-IVの合計スコアを減らしています。

しかしすべての臨床試験において標準偏差が大きいので、どの薬が一番ADHDの症状を改善するのかを判断するのは難しいものとなっています。


ただインチュニブ錠がADHDの症状を改善効果は期待できるものなので、ストラテラやコンサータで効果が得られなかった、副作用で継続できなかった人は服用を試す価値のある薬だと思います。

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