友人や家族などの周りの方から行動について指摘されたり、テレビや雑誌などでADHDを知って自分または子供がADHDではないかと不安に思っている方はいないでしょうか。
あやふやな情報でADHDと決めつけてしまうのは非常に危険です!
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もしADHDについて悩んでいるのなら、きちんとした検査を受けることが必要です。
今回はADHDの検査内容(費用・時間など)、また子供と大人で検査の違いはあるのかについてまとめたいと思います。
ADHDの検査内容(費用・時間)【子供】
ここでは子供がADHDなのかを診断する検査の内容(費用・時間)についてまとめています。
ADHDの検査内容(費用・時間)【乳児:~1歳】
子供がまだ乳児(生後1歳未満)の時にADHDと診断する検査はありません。
というよりもこの時期は子供の栄養面や運動機能、感覚機能などについて問題ないか気に掛けるべきです。
住んでいる場所によりますが1歳になるまでに1ヶ月健診や10ヶ月健診などが行われると思うので、もし気になるところがあれば健診で担当医に相談するようにしましょう。
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健診にかかる費用は住んでいる自治体によってかわります。
定期健診である3~4か月健診は無料ですが、他の健診は有料(3000円程度)費用がかかってしまうことがあります。
有料である場合でも、自治体によっては助成制度があることも多いので、健診を受ける前に住んでいる自治体に確認することをオススメします。
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健診にかかる時間は病院の混み具合によって様々ですが、2~3時間かかることもあります。
健診を受けるには長時間かかることを想定して、オムツやミルクなどの準備はしっかりしておきましょう。
ADHDの検査内容(費用・時間)【乳児:~1歳】まとめ
- 乳児のADHDの検査内容:なし(定期的な健診はあり)
- 乳児のADHDの検査(健診)費用:無料~3000円程度
- 乳児のADHDの検査(健診)時間:2~3時間
ADHDの検査内容(費用・時間)【幼児:1歳~6歳】
幼児(1歳~6歳)という年代は保育園や幼稚園に通う時期です。
保育園や幼稚園に通うとなると、友達との集団行動を学ぶこととなるのですが
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- 遊びの順番を待てない
- 邪魔だと思うと友達を突き飛ばす
- 友達の遊び道具をいきなり奪ってしまう
[br num=”1″] もし子供がADHDではないかと心配になった場合は1歳6ヶ月、3歳になった時に定期健診があるので、そこで子供のADHDについて医師に相談してみるのもいいでしょう。
医師に相談する場合は子供の保育園・幼稚園の様子、家庭での生活、子供の好きなものや性格などについて聞かれると思いますので、あらかじめメモをとっておくとうまく相談できます。
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定期健診の場合、費用は無料になりますのでお金の心配はいりません。
定期健診にかかる時間は「初診」なのか、あるいは「予約制」によっても変わります。
そのため、病院で検査を受ける場合には必ず一度電話でお問い合わせをしてください。
大学病院などでも「専門の担当医」がいない場合は、当日病院に行っても検査を受けられない可能性もあるので注意です。
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また病院の混み具合や子供が駄々をこねることで思ったよりも時間がかかるケースは多いです。
とくに初診の場合には2~3時間は覚悟しておくのが良いと思います。
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それでは、これから最も気になる「ADHDの検査内容」について、わかりやすく丁寧にご説明するので読み進めてください。
WPPSI知能診断検査
子供の年齢が3歳10ヶ月以上になるとWPPSI知能診断検査を受けることができます。
この検査は子供がADHDであると確定する検査ではありませんが、IQ(知能指数:知能の高さを数字化したもの)を測定することができ発達障害の可能性を検査することができます。
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WPPSI知能診断検査の内容は
- 知識
⇒一般常識や知識を検査する。例:耳はいくつあるでしょう?
- 単語
⇒質問された単語について自分の言葉で説明できる。例:ぼうしとはどういうものでしょう。
- 算数
⇒数をかぞえたり、足し算、引き算の答えをもとめる。
- 類似
⇒2つの物に関係している性質を答える。
- 理解
⇒物事の道理や理由を答える。例:バスの他に、どんな物に乗りますか
- 文章(補充問題)
質問者が話した短文を同じように答える。
- 動物の家
⇒バラバラに並んだ絵に対応するペグを差し込む。例:犬に黒のペグを差し込む。
- 絵画完成
⇒絵の中で欠けている部分を答える。
- 迷路
⇒出題された迷路を解く。
- 幾何図形
⇒お手本と同じ図研を書く。
- 積木模様
⇒片面が赤と白の積み木をお手本と同じに組み合わせる。
から構成された問題を解く検査となっています。
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WPPSI知能診断検査の費用は自費で2800円(診療報酬:280点)です。
※基本診療料などは別にかかります。
住んでいる自治体や病院によりますが子供の医療補助制度があり、保険適応が可能であれば無料となります。
WPPSI知能診断検査にかかる時間は通常45分程度ですが、子供の機嫌が悪く検査がスムーズに進まない場合は通常よりさらに時間がかかることもありますので時間にはゆとりを持って受診してください。
ADHDの検査内容(費用・時間)【幼児:1歳~6歳】まとめ
- 幼児のADHDの検査内容:問診、WPPSI知能診断検査
- 幼児のADHDの検査費用:無料~2800円程度
- 幼児のADHDの検査時間:45分~3時間
ADHDの検査内容(費用・時間)【小・中学生:6歳~15歳】
子供が小・中学生(6歳~15歳)になると、ある程度物事の分別がつく頃です。
そのような時期に
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- 授業中に立ち歩く
- 相手の話を最後まで聞けない
- 学校に行きたがらない
[br num=”1″] ADHDであるかないかを周りの方が判断することはできないのですが、医師に相談する前にADHDの症状評価としてADHD評価スケール(ADHD-RS)が使われることがあります。
[br num=”1″] このADHD-RSは家庭版と学校版があり
- 学校での勉強で、細かいところまで注意を払わなかったり、不注意から簡単な間違いをしたりする。
- きちんとしていなければならない時に、過度に走り回ったり高いところによじ登ったりする。
などの18問の設問に対して
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「ない、もしくはほとんどない」=0
「ときどきある」=1
「しばしばある」= 2
「非常にしばしばある」=3
の4段階で評価する方法です。
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しかしこのADHD-RSはあくまでも1つの評価なので、点数が高かったからといってADHDと決めつけないように注意しましょう。
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そして実際にADHDかどうかの診察を受けることになった場合、検査の前にまず行われるのは問診です。
よく聞かれる内容としては
- 忘れ物はどの程度あるのか
- じっと座っていることはできるか
- 順番を待つことができるか
[br num=”1″] 問診の内容はもちろん重要なのですが、この問診をしている間にも子供の視線や行動・手や足の落ち着きやコミュニケーションの仕方などについて観察しています。
WISC知能検査
問診が一通り行われるとADHDの可能性をみるためにWISC知能検査を行うことがあります。
WISC知能検査は幼児の項目で紹介したWPPSI知能診断検査と同じく、IQ(知能指数)を調べる検査です。
WPPSI知能診断検査より検査項目が増え、対象年齢も5歳8~16歳11ヶ月と上がっています。
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WPPSI知能診断検査の具体的な検査項目は
- 単語
⇒指示された絵の名称を答える。あるいは口頭で提示された単語の意味を答える。
- 類似
⇒2つの言葉を口頭で提示し、どのような点で類似しているかを答える。
- 理解
⇒日常的な問題の解決や社会ルールなどに関わる質問に答える。
- 知識
⇒一般的な知識を調べる質問をして回答する。
- 語の推理
⇒いくつかのヒントを与え、それらの共通する概念を答える。
- 積み木模様
⇒課題となる模様を提示し、数個の積み木によって制限時間内に同じ模様を作る。
- 絵の概念
⇒複数の絵を提示し、共通の特徴をもつ絵を選択する。
- 行列推理
⇒一部分が空欄になっているいくつかの絵が並んでいる図をみて、空欄に当てはまる絵を選択する。
- 絵の完成
⇒日常でよく見る物の一部重要な部分が欠けている絵を見せ、制限時間いないで欠けているものを答える。
- 数唱
⇒いくつかの数字を読んで聞かせ、同じ順序もしくは逆の順序で答える。
- 語音整列
⇒仮名と数字の一連の組み合わせを読んで聞かせ、数字は小さい順に仮名はあいうえお順に並び替えて答える。
- 算数
⇒算数の問題を制限時間以内に暗算で答える。
- 符号
⇒幾何図形または数字とついになっている記号の見本を見せ、提示された幾何図形や数字に対等する記号を制限時間内に書く。
- 記号探し
⇒左に指標となる記号があり、右にその記号を含むあるいは含まない複数の記号が提示される。
左と同じ記号が右の複数の記号群にあるかないかを制限時間内に答える。
- 絵の抹消
⇒様々な絵の中から動物の絵を制限時間内に見つけ、それを線で抹消する。
となっています。
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WISC知能検査にかかる費用は自費で4500円(診療報酬:450点)です。
※基本診療料などは別にかかります。
こちらもWPPSI知能診断検査のように住んでいる自治体や病院により保険診療かつ子供の医療補助制度があれば無料となります。
WISC知能検査にかかる時間はだいたい45~60分ぐらいです。
ADHDの検査内容(費用・時間)【小・中学生:6歳~15歳】まとめ
- 小・中学生のADHDの検査内容:問診、ADHD-RS、WISC知能検査
- 小・中学生のADHDの検査費用:無料~4500円程度
- 小・中学生のADHDの検査時間:45~60分
ADHDの検査内容(費用・時間)【大人】
ここまでは子供のADHDについて検査内容(費用・時間)をお話しましたが、ここからは数年前から急に目立つようになってきた「大人のADHD」について解説をしていきます。
実は以前まで、ADHDは子供時代に問題になる症状としてみられていましたが、最近では大人になってADHDが発覚することが多くなりました。
大人のADHDでよくあるのは不注意症状です。
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- 仕事の優先順位を間違えてしまう
- 忘れ物が多い
- 遅刻や時間管理がおろそかになる
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大人でADHDの検査のために病院へ受診する方は、子供と違い1人が多いので客観的な情報がどうしても少なくなります。
また問診をしていても本人が無意識的に「自分はADHDだ」と思っていることが多いので診断が難しい場合もあります。
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そこで1つの検査ツールとして使われるのがConners’ Adult ADHD Diagnostic Interview (CAADID)です。
CAADIDは2つのパートに分かれていてパート1では家族歴、既往歴、現病歴などを聞き、パート2では現在の症状と過去(子供)の頃の症状を確認します。
パート1は「はい/いいえ」または自由記述で回答、パート2は面接によって答えていきます。
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CAADIDは診療報酬の対象の検査ではないので、病院によって費用は変わります。
CAADIDにかかる時間は各パートだいたい60~90分なので検査を受ける日はある程度、時間に余裕を持っておくといいですね。
WAIS成人知能検査
病院によっては子供のADHD検査で紹介したWPPSI知能診断検査・WISC知能検査と同じように、IQをはかるWAIS成人知能検査を行うことがあります。
WAIS成人知能検査の対象年齢は16歳 ~ 89歳なので高校生、大学生の方でも受けることができます。
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WAIS成人知能検査の内容は
- 絵画完成
- 符号
- 積木模様
- 行列推理
- 絵画配列
- 記号探し
- 組合せ
- 単語
- 類似
- 算数
- 数唱
- 知識
- 理解
- 語音整列
で構成されていて子供のIQの検査であるWISC知能検査と似た内容となっています。
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WAIS成人知能検査にかかる費用は、自費で4500円(診療報酬:450点)です。
もし医師の判断で保険適用となれば3割負担で1500円となります。
※基本診療料などは別にかかります。
WAIS成人知能検査にかかる時間はだいたい60~95分です。
ADHDの検査内容(費用・時間)【大人】まとめ
- 大人のADHDの検査内容:問診、CAADID、WAIS成人知能検査
- 大人のADHDの検査費用:1500~4500円程度
- 大人のADHDの検査時間:各検査60~95分
ADHDの検査内容(費用・時間)子供と大人の違いまとめ
今回はADHDの検査内容(費用・時間)と子供と大人の違いについてまとめてみました。
ADHDであるかどうかは専門の医師であっても、検査に多くの時間をかけなければ診断することはできません。
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友達に言われたり、テレビの情報に当てはまるからといって自己判断でADHDではないかと思わず、ADHDか気になるのであれば病院できちんと検査を受けましょう!